現役の演出助手の長谷川がなんでもかんでもご相談に乗ります!

ざっくばらんな相談に、演劇歴14年、関わった現場は100以上、何とか個人事業でやってきた現役の演出助手がお答えします。

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【宣伝広報業務】

<はじめに>
宣伝広報は公演を一般のお客様に向けてPRする業務です。
スタッフのクレジットの中に入っていることはあまりないのではないでしょうか?
公演を一回きりのもので終わらせず、その場限りの集客ではなく“顧客”を作るために、もっとも必要な役職です。
まだまだ手探りの状態ではありますが、“公演を次のステージに繋げる”ための長谷川なりの方法論をご紹介します。

公演を1回きりのもので終わらせず、“次のステージに繋げる”ための工夫を!


▼<目標の設定>▼

公演を行うにあたって、どのような制作的な目標を設定するのかを決めていきます。
目標を決めた公演と、決めていない公演とでは“辿っていく過程が異なるため、成果も大きく変わってきます。”


目標を設定するにあたって、長谷川の場合大きく分けると
・どのような公演にしたいか
・何人集客をしたいか
の2つに着目していきます。
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☆「どのような公演にしたいか」「何人集客をしたいか」“具体的な”目標を設定して、効果的な戦略を立てられるように!


▼打ち出せる広報のプランを上げる▼

予算や割ける労力によって、どこまでの広報を展開できるのかを考えます。
どのような効果があるか、という点は一度後回しにして、“今何ができるか”ということを考えて列挙していくと選択肢が広がります。


まず、自分の得意な分野は何か、という点から探していくと実現可能な方法がみつかりやすいかもしれません。
長谷川の場合、「映像」「WEB」周りが得意な分野だったので、その点から多く出していきました。

・コピーライティング
・特設WEB
・Twitter
・Facebook
・ビジュアルの撮影
・プレスリリースの作成
・宣伝用文面の作成
・インタビュー動画
・PR動画
etc

などが列挙していったプランになります。
WEB系がやはり、“安く多く”アプローチをかけれるので取り入れたいところではありますが、人により技術のあるなしが出てくるかと思います。
その際は、外注をしてもいいですし、WEB系に頼らない、アナログな方法を考えていくのもひとつの手です。

☆まずは、“何が出来るか”という点からリストアップ!


▼広報スケジュールの作成▼

検討をして、打ちだそうと決めた広報プランをどのようなスケジュールで公開・準備していくのかをきめていきます。
それぞれ、適切な宣伝の“経路”“時期”が存在すると長谷川は考えています。


↑実際に立てた広報スケジュールです。

スケジュールを立てる際ですが、
・“適切な層に”アプローチできる情報公開の経路の準備ができるか
・アプローチした人達に“本当に見てもらえるタイミング”か
・効果的な宣伝内容を作るのに適した時間の割り振りか
といった点を、長谷川は大事にしています。
一つずつ見ていきます。
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広報プランは、適切な“経路”・“時期”を選択する!

★広報スケジュール表のテンプレ★



実際に今公演に使用した広報スケジュール表を元にしたテンプレートです。


▼<全体的な広報の方向性、具体的な方法>▼

広報の方向性、具体的な方法を決めていきます。
“集客を増やす”といった、明確でない方向性を設定してしまうと、効果的な宣伝がしづらくなってきます。
“集客を増やす”ために、何をどうするか、という具体的なところまで踏み込んでいきます。

今回公演に際して、“出演者の手売りを増やす”“劇団としての新規のお客様を10名は呼ぶ”というような方向性を定めました。方向性は、自団体の現状をしっかりと把握した上で考えると、明確な方向性を出しやすいです。

・演劇関係者の多くに公演を知ってもらう
・劇団のファンにもれなく情報を知ってもらう
・ファンを増やす公演にする
・記録に残す公演にする

といったように、明確な方向性を決めることが大切です。
自分の劇団や、団体が先々“どういう風になっていきたいか”“今がどのような状態か”“何が足りないのか”“できることは何か”といったことを明確に把握していると、このような目的を立てやすくなると思います。

その上で具体的な方法を考えていく際、どの目的をチョイスした際にも共通して言えるのですが、“宣伝をかけた人が集まる場所を作っておく”というのがとても大切だと考えています。
長谷川の場合、WEBがやはり武器になってきますので、「特設WEB」などに情報をまとめそこに人を誘導していくようにします。
必ず「アクセス解析」も入れるようにして効果的に稼働しているかどうか、どの経路からのアクセスが多いのか、少ないのか、常に把握するようにして、PDCAサイクルを回してトライ&エラーを繰り返します。
WEBが苦手だという場合は、チラシなどアナログな手段でも代わりにできると思います。
アナログな方法だと、効果があった人数の測定が難しいところはありますが、工夫次第でアイディアは出せると思います。

☆広報の“明確な目的”を決めて、それを見ることができる“人が集まる場所”をつくる!

★目的・主旨を考える際に参考にしている、長谷川が独自に分析・試算した各データ★


詳しくはこちら→「都内小劇場演劇の観客人口試算」


▼<WEB・アクセス解析>▼

劇団や公演のホームページを作成し、アクセス解析をいれてどれくらいの効果が出ているのかを検討していきます。


WEBに関して、現在長谷川は「WordPress」を使って作成することがほとんどです。
「WordPress」とは何かといえば、要は「ブログ」を作成するWEBの機能みたいなものなのですが、このあたりの説明は検索するとわかりやすく解説されたものが山ほど出てきますので、興味のある方は検索してみてください。

「WordPress」の運用には「サーバー」が必要になってきますので、こちらは「Xserver」を利用しています。
こちらも同じく、分からない方は検索してみてください。

ちなみに、「WordPress」を使って、自団体のページを作成したものが下記です。
「舞台製作団体BMG」
http://bmg-web.com/
「少年アダルト」
http://bmg-web.com/syonen-adult/

合わせて、今回の公演用に作成した特設WEBが下記になります。
「少年アダルト 旗揚げ準備公演『メモリ』」
http://bmg-web.com/memory/

このページにすべてのコンテンツを集約して、ここに人を集めるように広報を展開していきました。
視覚的にわかりやすく、公演の記録としても残せるページに出来る用に作りました。

ここにアクセス解析を入れて、効果測定をしていきます。
アクセス解析は「GoggleAnalytics」を利用しています。
こちらも同様、詳細は検索してください。
アクセス解析は、専門的に勉強するとこの数値が大きいとこうで、ああで、など色々あるのですが、小劇場規模の公演でしたら“単純なアクセス数”と“経路”を知ることが出来るだけで十分ではないかと思います。
なので、よく分からない、という方も積極的に導入してみることをおすすめします。
これらの情報を可視化して、自分たちが果たして本当に“意味のある広報をやっているのか”ということを知るだけでも大きく前進出来るはずです。

☆自分が手をつけやすい方法を見つけ、“意味のある広報をやっているのか”ということを知る!


▼<文字情報>▼

広報をしていく際、「文字情報」をつかうことがどうしても多くなります。
その際に、効果的な文字・文章の書き方があると考えています。


まず、文字情報を扱う広報として
「宣伝のテンプレ」というものがあります。こちらを中心に整理していきます。

メールやSNS、ブログ等で使用する“公演情報の定型文”を主宰さんや、制作さんからいただくことが多いのではないでしょうか。
その文章を、テンプレそのままで使うのは非常にもったいないと長谷川は考えています。
実際に使用した宣伝文を参考に見ていきます。
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☆テンプレをそのまま使うのではなくて、宣伝をされる人が“必要としている”であろう情報を伝える!


▼<戯曲公開>▼

今回長谷川がおこなった広報の一つで、「戯曲の公開」があります。
長谷川の広報の理念のひとつで“中身が分かる宣伝を”というものがあります。


演劇という興行は、“劇場に足を運ばないと中身が全くわからない”という特異性を持っています。
映画などは、実際に上映される映像の一部をダイジェスト的にして宣伝を打つことができたりしますし、またそれが非常に効果的であったりします。
しかし、演劇では劇場に持ち込んで初めてつくられるものなので、そういうわけにもいきません。
これは一般のお客様が中々足を運んでくれない理由の一つだと長谷川は考えています。
そんな状況を打開するためには、“中身が分かる宣伝を”行い、“商品の見える化”を積極的にすべきではないでしょうか?

そこで打ち出したひとつの広報がこの、「戯曲公開」になります。
戯曲公開と言っても、全編公開するわけではありません。
気持ち的には公開したいのですが、全編公開にはあまり意味がないと考えているためやりません。
理由としては、現在の演劇の市場に、全編公開された戯曲を律儀に見て劇場に足を運ぶような人はいないと思っているからです。
現状の市場の外に目を向けた際も同様で、全編公開をして全編読もうと思ったら、スマホ・タブレット・PC等を利用して戯曲を電子情報で読むことになり、また全てとなると90~120分は時間を確保しなくてはならない状況では、読むような人はあまりいないと思います。
もしそのような人が多くいたとしたら、この業界はもっと盛り上がって、市場経済が回っていてもいいと思います。

では、どのような方法をとったかと言うと、「一部情報公開」という形で、ユーザーが見やすい状況をとにかくつくりました。
今回は、Twitter等SNSで“短時間で”興味を持ってもらえるように、画像の形式(jpeg)に落とし込んで、画像としてチラシの画像等と合わせて公開するようにしました。

一部だけ公開することで、“先が気になる!”という状態にお客様を誘導するようにします。

☆“中身が分かる宣伝を”して“先が気になる!”ような状態をつくる


▼<インタビュー動画>▼

出演者一人一人のインタビュー動画を撮影・公開します。
出演者個人の手売りが中心となる場合、有効な手段の一つだと考えています。


長谷川の場合は、素人技ですが撮影・編集と行う技術を持っているので、毎回しっかりと作成するようにしています。
もしそういう技術を持っていない人でも、最近でしたらスマートホンの動画の画質も上がっていますし、動画を共有・投稿する方法も様々にあるので、導入するための敷居はとっても低くなってきていると思います。
作成する際に、
・その出演者がどのような役を演じるのか
・今回はどのような作品になるのか
この2点は必ず入れるようにしています。
やはり、お客様が知りたいのは“どのような作品で、どのような価値があるのか”というところかと思うで、「知り合いのこの人がこういう役をやるんだ、こういう作品をやるんだ」と認知してもらうことが集客への第1歩です。
・好きな食べ物
のような、もし仮に作品と関連性があったとしても、どうでもいい情報をわざわざ出すのが一番無駄です。

動画製作はひと手間かかる方法ではありますが、宣伝手段が少ない演劇の公演においては、利用価値が非常にある方法だと考えています。
出演者も、自分の動画が出るとモチベーションもあがりますし、“文字情報以外”の宣伝をSNS等で出来るようになるので、券売欲の向上にもつながると思います。

☆“どのような作品で、どのような価値があるのか”を伝える内容を!
手売りの券売を上げる方法の一つとして!


▼<PR動画>▼

広報戦略の一つとして、「PR動画」を作成しました。
映画などのように、実際に上演される内容を事前に映像にすることは難しいので、作品のイメージを動画にしたものを公開している場合がよくあります。
それも一つの形ではありますが、イメージだけを伝えたところで実際の舞台とはほとんど異なる映像に果たしてどこまで意味があるのか、というところに疑問を持ち、実際に上演される形に近づけた動画を撮影できるように挑戦しました。


結果的には、時間を割いて撮影などをしてみましたが、中々難しく思ったような動画にはなりませんでした、、、。公開したものが、こちらになります。
「メモリ」PR動画

意識した点は、
本番と同様の
・衣裳
・ミザンス(段取り)
・小道具
・セリフ
を用意する、という点です。
撮影場所は、スタジオを借りて撮影しました。その際、なるべくシンプルな背景が作れる場所を意識しました。本番と近い“場所”を考えるとどうしても難しく、この点だけは台詞や衣裳等を画面内で阻害しないように、という考え方をしました。
全く同様、といかないまでも、本番とほぼ同様のものを用意し撮影をした方が、宣伝の材料としては効果があるのではないかと思い手配をしました。
上記のyoutubeの再生回数は100弱ですが、Twitter・Facebookのタイムラインに投稿したものを主な公開経路にしたので、そちらを合わせると500以上は閲覧していただけています。
この動画がどこまで集客に繋がったのか、という点は検証が難しく今回は省いていますが、工夫次第でもう少し効果のあるものがつくれそうだと感じました。

☆イメージを伝えるだけのPR動画はやめて、きちんと効果を考えた宣伝動画を!


▼<SNS運用>▼

昨今、どこの団体も使っている宣伝の手段でSNSがあります。
Twitter・Facebookが主になるかと思いますが、上手に運用している団体や出演者をあまりみたことが無いような気がしています。

◎長谷川の仕事術◎
SNS運用の際に長谷川が気をつけている点が、
・SNSから別の場所に誘導する
・無駄な情報を載せない
・同じような情報を載せない
・定期的に更新をする
という点です。順番に解説していきます。
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☆手軽な宣伝ツールではありますが、“予約・チケットの購入”に繋がるような“無駄のない”効果的な運用を!


▼<ゲネ動画>▼

ゲネプロの動画をダイジェスト形式にして公開します。
この段階でようやく上演内容と同様の宣伝を行うことができるので、タイトなスケジュールの中になりますが、券売の最期のひと押しとして是が非でも出していきたい広報です。


今回の公演は、長谷川は“演出”“出演”を両方やっておりましたが、ゲネの写真と動画を両方出しました。
下記になります。

さて、どうやったのかと言いますと、まず写真は”場当たりをカメラ片手に客席で見ながら撮りました“もともと、ショーケース公演ということもあり、時間が物凄くタイトで、ほとんど事前に打ち合わせをしたものの確認、という部分が大きかったのでこのような形を取れました。
1眼のようなしっかりしたカメラではなく、普通のコンデジで撮影したので、それくらいのクオリティではありますが、宣伝材料としては申し分ないと思います。

次に、ゲネの動画ですが、”三脚とカメラを持ち込んで客席に放置“です。もちろんフォーカス等はあらかじめ設定しておきます。その上で、ゲネ後に使える部分だけピックアップして公開します。今回は3台置きました。翌日には公開しないと意味がありませんので、これを単独でやろうと思うともちろん徹夜で初日を迎えることになりますのであまりオススメはしません。苦笑
ですが、今回割と無理やりこの手段をとってみました、意外と絵としては良いものが出せたと思っており、余裕があれば是非やるべき広報の一つだと感じました。

やはり実際に舞台上で照明と音響・役者が入ったものが見れると、観劇意欲や興味が持ちやすくなるでしょう。

☆唯一の実際に上演される内容を出せる宣伝なので、”多少無理をしても素材を残す工夫を“!

以上が宣伝広報業務に関しての長谷川の仕事術です。
皆様の公演のお役に立てましたら嬉しいです。
この仕事術は、あくまで長谷川独自の方法となります。これが絶対に正しい、というものではありません。
こちらをぜひ利用していただいて、各々の良いと思う仕事術を探って頂ければ幸いです。

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